久しぶりにガジェットブログを書く。そう、XPSのレビューだ。今回で4回目。XPSがどのようなデバイスか、買うべきか否か、という部分を最大のライバルであるMacと比較しながら徹底的にレビューしていく。
CPU | Snapdragon® X Elite X1E-80-100(12 コア、最大 3.4GHz、デュアルコアブースト最大4.0GHz、NPU最大 45 TOPS) |
GPU(内蔵) | Qualcomm® Adreno™ GPU |
メモリ | 16GB, LPDDR5X, 8448MT/s, オンボード |
ストレージ | 512 GB, M.2, PCIe NVMe, SSD |
ディスプレイ | 13.4インチ, タッチ, 3K 2880x1800, 60Hz, OLED, 反射防止, 400 nit, フレームレス,Eyesafe® |
本体重量 | 1.17 kg |
大きさ | 厚14.8mm 幅295.3mm 奥行199.1mm |
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contents
今回の機種の特徴
XPSは、Dellが開発しているノートPCの1つで、フラッグシップ(最上位・高級)にあたるモデルとなっている。
同社モデルと比較して「ディスプレイ」「キーボード」「筐体」に力が注がれている。それに加えてSnapdragonチップ、スマホのチップの派生型チップを使用したモデルとなっている。
圧倒的なディスプレイ
XPSのディスプレイは目を引くものがある。XPSといえばディスプレイ、と言っても過言ではないくらいの破壊力がある。
3K有機ELの高精細ディスプレイ
画面サイズは13.4インチ、有機EL、解像度は2880×1800(3K) 400nit、16:10の比率。
これでも過去のXPSと比較して解像度は下がっており、過去のXPSでは4Kを搭載したモデルが存在した。ただ前回までの記事で紹介した通り4Kは過剰性能であり、PCへのGPU負担も減らせて良き良き。
あと最大輝度がめちゃ明るい。次に比較するMacBook Pro14 2021と比較しても明るさはずば抜けており、太陽直下でも余裕で見える。仕様上は400nitだが、感覚1600nitくらいある。HDRコンテンツなんて見てしまえば明るさで目がやられる。ただHDRコンテンツを最大輝度にすると若干白飛びするため、中間の明るさで見るのが良き。あとタッチも対応。
圧倒的なベゼルレス
初代XPSから継続した極小ベゼル。没入感100%。
比較対象(左)はMacBook Pro14で、そこそこベゼルが細いが、XPS(右)はさらに細い。横のベゼルはもはやスマホ並みの細さ。上のベゼルはMacのほうが細いように見えるが、Macの金属部分の枠を含めると大差はない。
Macはカメラ部分がノッチで自己主張しているが、XPSは上部のベゼルに存在する。かつ顔認証センサ等も同様の位置に配置されており、この細さで無限の可能性を示唆している。
側面だけでなく、画面下のギリギリまでディスプレイが来ているのがXPSの素晴らしいところ。見えるところを無駄なく美しい画面で覆っているのが完璧。Good。
最小輝度が暗くならない
これはその辺のWindowsと比較すれば全然気にならないくらいの差しかないが、Macと比較するとここは劣ってしまう。夜に操作するなと言われればそれまでだが。
色味等は申し分ない
専用のキャリブレーション的なのを持っていないためどっちが正しい色なのかはなんとも言えない。しかし、両者とも綺麗であるし、色味も概ね一緒。
写真では左が緑っぽく右が紫っぽいが、実際は真逆。Mac(左)のほうが若干紫っぽく、XPS(右)は緑っぽい。
今回届いたやつは画像の真ん中の選択肢のものだが、他にも液晶のほう及び解像度を落としつつリフレッシュレートの高いモデルがあったりする。今回のOLED、有機ELのが最も高価。OLEDもできれば120Hz対応してほしかった(Snapdragon以外の別のモデルは対応してるのもある)。
キーボード
次はこのキーボード。明らかに他のデバイスを魅了する形状をしており、もはや違和感の塊。
昔のXPSは一般的なアイソレーション(キーとキーの間がある)キーボードだったが、最近は壁がない(ゼロラティス)キーボードとなっている。ついでにFunctionキーがタッチ式となり、タッチパッドもパット見で無さそうに見える。
キーボードは悪くない
アイソレーション時代からキーボードは非常に押しやすかったが、今回のキーボードも比較的押しやすい。というのもノートPCの中では比較的ストローク(押したときの深さ)が深く、打鍵が気持ちいい。もちろん静音性もある。MacBookのペラペラに戻れなくなる快適さである。
あと明らかにキーの隙間が狭いため、意図しないキーの誤入力が起こるかと心配だったが、意外とそうでもなかった。配列も一般的な日本語配列(US配列も選択可能)で文句のつけようがない。
ただし少しキースイッチが重い。恐らく打鍵ミス防止のためだと思うが、他のWindowsは比較的キーボードが柔らかいことが多く、慣れるまでは疲れやすいかもしれない。
Functionキーは物理キーが欲しかった
ただFunctionキーはどうしても使いづらさを感じた。要はスマホの液晶を叩いてるのと同じ。スマホだとバイブ等で感触を得られたりするが、Windowsはそんなものなく、押した感覚が一切ないのが良くない。
また、このタッチ式、一発で認識しないことが多い。誤タッチこそ少ないが、逆に押しても反応しないことが多く、それが不快だと感じた。
左下のFnキーを押すことで、音量設定などの便利キーとF1~F12キーを切り替えることができる。
タッチパッドはすごく使いやすい
ノートPCの下部(中央付近)がちゃんとタッチパッドである。パット見分かりづらいので初見殺し感は否めないが、しっかりジェスチャー操作ができる。
また、タッチパッドを押し込んでクリックする機構も存在し、Macと同じく、ノックをし返してくる仕組み。だからFunctionキーのように操作感が感じられないということもない。どこで押しても一定の力でクリックができ、一般的なノートPCのタッチパッドより操作しやすい。
筐体
筐体については、最近のWindowsは比較的しっかりしているものが多いため、秀(ひい)でて素晴らしいと言いにくい状態であるが、それでもXPSは非常に美しい。
外装は全てアルミ筐体で、端子、排気口の細かい部分まで美しい削り出しボディとなっている。今回はグラファイトの色となっているが、こちらもまたかっこいい。
背面も非常にかっこいい。背面スピーカー兼吸気口を備えた横の隙間がもう本当にかっこいい。
そこそこ薄いのも特徴的(14.8mm)。逆にディスプレイ側にいい感じの厚みがあり、MacBookと比較して頑丈な感じがする。
そして13インチとしては最小のサイズ感。びっくりするくらいサイズ感が小さい。小さいくせに13.4インチかつフルキーボード。この詰め込まれたギミックと可愛いサイズ感のギャップがたまらない。
持ち運びも最適化され、重量は1.1kg台。アルミ筐体で比較的軽い。あのMacBook Airも1.2kgであるため、それよりも軽い。
ただ他のWindowsは1kgよりも軽いモデルがあったりする。ただXPSは筐体がしっかりしているため、実際に手に持ってみると軽く感じると思う。
端子はUSB-Cのみ
充電及びデータ転送、ディスプレイ出力は、全てUSB-Cで実現。両サイドに1ポートずつ配置され、左右どちらからでも充電できるのは嬉しい。
もちろん汎用のUSB-Cなので、互換性のあるPD充電器の使用が可能である。
ただし、今回の13インチはそれ以外の端子が存在しない。基本はUSBハブを使ってくれということだろう。
注意点としては、Thunderboltには非対応である。ディスプレイ出力は対応しており、USB4にも対応しているため、普通の利用ではそんなに困らないかも、と私は思っていた。しかし、5K出力のStudio Displayが映らなかった。
ただこれはチップの相性問題かもしれない。というのもIntel製チップ搭載の同じくDell製PCで、同じくThunderbolt非対応モデルだが、こっちは動作するんですね。まあApple製ディスプレイですからWindowsでは使うな、ということ。
4Kで試した際は正常に動作したため、そこは安心してほしい。
Snapdragon製のチップ搭載
一般的にWindowsではIntelまたはAMD製のCPUが搭載されることが多かったが、今回はSnapdragon製。簡単に言えば、スマホに搭載されたチップがPCでも採用されたイメージ。
スマホ向けに搭載されたチップは省電力で、バッテリー持ちが期待できる反面、ARMベースといって、全てのアプリケーションが動く保証がない。逆にChromeBookの場合だとARMベースでないと動作しないようなアプリも存在する。
ARMベースは非常に優秀
最新のMacBookもARMベースのチップが入っているためWindowsに入っても特に違和感はない。問題なく使用できている。
基本的なブラウジングではCPU使用率は非常に低く、それでいて十分な快適性がある。
比較的重いアプリを開いても、パフォーマンス不足を感じることは無かったかな。
バッテリー持ちがやはり最強
ARMベースはバッテリー持ちが非常に良い。実際MacBookがそれを証明してPC業界をざわつかせたわけだが、このXPSも非常に良い。
ブラウザベースで1時間の作業をして10%の減り。つまり10時間はバッテリーが持つ計算。従来ではあり得なかったバッテリー持ち。前回のXPSレビューからMacを同時に使用していたくらい、バッテリー持ちでひやひやしていたが、今回は安心して使用できた。
NPUは最後まで使用されず
NPUは恐らくAI的な処理で使用されるエンジンだが、一度も使用されていない。
一応Copilotボタンがキーボードにあるように、AI自体はPCで利用可能である。しかしCopilotはネットワークで検証してるだけで、このPC上でAIが動いているわけじゃない。今後に期待、という感じかな。
詳細なスペック
一応過去にレビューしたものを含めている。単純な数値で見てしまうと、まあそんなものかーという感じだが、そもそもチップのアーキテクチャも異なるため単純比較はできない。
9345(本機) | 9320(前回) | 9310(13インチ) | 9510(15インチ) | MacBook Pro | |
CPU | Snapdragon® X Elite X1E-80-100 | Core i7 1260P | Core i7 1185G7 | Core i7 10875H | M1 Pro |
コア数 | 12c | 12c16t | 4c8t | 8c16t | 10c |
TDP | 23w? | 28W | 28W | 45W | |
CineBench R23(si) | 1272 | 1629 | 1434 | 1511 | 1535 |
CineBench R23(mu) | 9076 | 9460 | 4093 | 7556 | 12289 |
電池持ち | 10時間 | 5時間 | 5時間 | 6.5時間 | 10時間? |
性能が落とされている?
Snapdragon製PCを触るのは初めてなので何とも言えないが、若干性能が落とされている感じがした。ベンチマーク時にCPU使用率を見たところ、最初の30秒は100%で回っていたが、その後は70%台だった。ベンチマークはもうやりたくないのであくまで参考までに…
ゲームは比較的強い
ドラクエはフルHD最高画質で「快適」判定。
「原神」を2880x1800で、デフォルト(最低)と、fpsのみ60fpsにしてプレイしたところ、意外とちゃんと動作した。たまに60fpsを下回る事があったが、基本的には60fpsで遊べた。ただしそれ以上高い設定にすると一気に30fpsまで下がる。
これは外部GPUを搭載した15インチモデルよりも性能が高いということ。Snapdragonなかなかすごいね。あるいは当時より原神が最適化されている可能性もあるため一概には言えない。
ファンもそんなにうるさくない
大前提、よほど重い作業でない限りファンは回らない。次に話すDockerの構築や、先程のベンチマーク、ゲームでしかファンは回らない。高音系のシュイーンという音がなっており、MacBook Proよりはうるさいが、許容範囲かな。
キーボード周りが一新されてから冷却性能も向上しているため、高負荷が終了すればすぐにファンは収まる。
実際の使用感
実際にMacと入れ替えながら使用してみた。作業内容としては以下の通り。
- ブラウザベースの作業
- dockerを用いたプログラミング・開発
dockerは仮想環境を複数立ち上げるサービスで、要するにOSが仮想的に複数起動するため、比較的動作が重い。
ちなみに普段Macを利用していたこともあり、すっかりWindowsには不慣れとなっている。その点を理解したうえで参考にしてほしい。
普通に使用してもたつくことは無い
まず動作は非常に安定している。とはいえIntel時代からもたつくことはほとんどなかったため、別に言うことはない。YouTubeの全画面表示もサクサク動作する。
あと、前回のXPSであったOS不安定問題は、しっかり解決していた。というのも、前回の機種は動作があまりにも不安定で、勝手にスリープ、発熱、ブルースクリーンなどが高頻度で発生していた。今回の機種でそれは起こっておらず、安心して使用できている。
メモリ16GBはきつい
レビューした端末が16GBメモリであったため、さすがにきつかった。特にDockerが走ると激重、とは言わないが、若干ラグを感じることがあった。
ただし販売されているXPSには32GB、64GBの選択肢もあるため、そこは問題ないだろう。
Dockerは不完全
これは私の環境が悪い可能性もあるため一概には言えないが、仕事で使用している環境の構築ができなかった。なぜだろう。
個人のやつは無事構築ができたため、私の環境が悪いだけかなぁ。他にWindows使用してないから検証できないのが悲しい。
顔認証センサ等が有能すぎる
中央にはカメラ、横には顔認証センサがある。こいつが結構優秀で、自分が目線をそらしたり、離れたりすると、画面が暗くなり、最終的にスリープする。非常にせっかちさん。
ただ作業中にこれが起こることは無く、むしろ無操作でも画面が消えないためこれは非常に便利。
スリープ復帰は顔認証セットアップに時間がかかる
顔認証はとても使いやすく、一瞬で認識する。従来のXPSは位置がシビアだったが、今回のは劇的に改善。ただ、顔認証が立ち上がるまでワンテンポ遅れるため、普段使いする場合は指紋認証を使用したほうがいいかもしれない。
指紋認証も爆速
実はブログ執筆まで顔認証だけで進めてきたため、レビューのために一応指紋認証を使ってみたが、こっちも爆速ですね。これもまた少し前のXPSは不安定だったため、今回のは細かい部分が大きく改善された。
軽いのは正義
普段1.6kgのMacBook Proを持ち歩いていることもあり、この機種は本当に軽く感じた。ディスプレイのベゼルが細く、ディスプレイ分の筐体、重量となっており、本当に洗練されてる。
たかが500gかもしれないが、手に持ったときの負担が全く違う。リュックサックへの出し入れが本当に快適。
軽いとはいえアルミ筐体なのでしっかり頑丈。というのも某メーカーの800g台の軽量PCが、あまりにも軽すぎてディスプレイがふにゃふにゃだし、キーボード叩く度に本体が移動してた。キーボードがつく本体部分は軽すぎても良くない。
没入感がすごい
これはXPSを使用する度繰り返し言ってることだが、これだけベゼルレスのディスプレイだと没入感がえぐい。
また、13インチとノートPCの中で小型なため、基本的にシングルタスク前提なのかな。使い方によるとは思うが、シングルタスクの作業は脳にとっては生産性は高い。ただ私はウィンドウ2分割運用が多いので、14インチはあったほうがいいかなぁ。
総評:高いPCなだけある
XPSは昔から欲しかったPCでありつつ、一度ハードウェアが微妙だった過去があり、購入はおろか、推すのすらためらっていた。しかし、今回ので払拭された。XPSを信じてよかった。
誰にオススメか
XPSは誰向けなのか、という話だが、正直「XPSのこの筐体に魅力を感じる人」としか言いようがない。そう、私のことだ。
確かに筐体は非常に洗練されているし、実用性も特に問題なし。バッテリー持ちもいいしモバイルノートPCとしての非の打ち所がない完成度だった。ただ如何せん価格が高い。
一応今回のSnapdragonは、XPSの中でも比較的割高な部類となる。バッテリー持ちを犠牲にすれば、Intel製の選択肢もあるし、なんなら他のWindowsの選択肢もある。
自分も買わないであろう
もし私自身が今から購入するとしたら、Macとなる。というのもやはり私はプログラマという仕事のためLinuxベースのOSが良い。一応WindowsデバイスにUbuntuを入れる的なこともできなくはないが、今回はアンバサダーの借りものなので検証できない。
仮に私がWindowsでメイン運用するとしたら、選択肢の一つにはなると思う。ただ、普段使いで13インチは狭いため14インチ以上のものが欲しいかな。一応XPSには14~16インチまでの選択肢がある。14インチの検証はしたいので、またデルアンバサダー申し込んじゃおうかなぁ。
最後に、最近はノートPC自体が安いグレードから比較的完成度の高いモデルが多く存在している。今回のXPSはそれに反する形のブランド性を持っている。同様のブランドで言うとMacBookもあるが、XPSは今後どのような形で進化、販売されていくかは今後も追っていくつもり。