今回は、US配列をゴリ押しする私が、US配列の魅力を紹介する。そもそもUS配列とは何だ、という人も多いだろう。この記事を見れば、JIS配列とUS配列についてのことは熟知できると言ってしまっていい。そして、もしJIS配列かUS配列か迷っている人がいるなら、この記事で最適解が分かるはずだ。
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キーボードは奥深い
キーボードと言っても、たくさんの種類がある。今回のテーマである、「JIS」か「US」かというのはその中の一つ。まずは、どのようなキーボードがあるかざっくり説明する。
キースイッチの種類
まず、キー一つ一つの構造は、大きく4種類に分類される。
メンブレン
メンブレンは、単純な構造のため価格が安く、学校や一番初めに見るキーボードがこれだと思う。
キーの中のゴムが押されて信号を出す仕組み。跳ね返しがゴムのため、押した感じが安っぽいと言われている。
パンタグラフ
パンタグラフは、とにかく薄い。ノートPCやApple Magic Keyboardに搭載されている。
構造はメンブレンと同じで、電車のパンタグラフと同じ構造を取り入れることで薄型化している。疲れにくいが、ミスタッチが増えやすい。
メカニカル
メカニカルは、一つ一つが独立したキースイッチになっており、中で金属が接触することで信号を出す仕組み。
応答速度が早く、ゲームをする人におすすめのキーボードである。
静電容量無接点方式
静電容量無接点方式は、キーの中にバネが入っており、押されたときの静電容量で信号を取り込む仕組み。
耐久性が高く、打鍵感がトップクラスに気持ちいい、と言われている。身近なところで言うと、セブンATMの番号打つやつがこれに当たる。
おすすめのキースイッチ
キースイッチによって、押し心地や快適さが違うが、慣れの問題によるものも大きい。私はHHKBをメインに使っているが、ノートPCのほうが快適と感じるときもある。キーボード好き以外はそこまで拘らなくていい。
ゲームをするときは、応答速度の早いメカニカルや静電容量無接点方式を選ぶといい。
接続方法
接続方法は大きく三種類。
USB 有線
その名の通り、ケーブルを使って直接接続する。ワイヤレスと比べて遅延がなく、バッテリーも不要である。
USBレシーバー
ここからはワイヤレスになり、キーボード周りがスッキリする。Bluetoothと比べると安定性は上。スリープ復帰も一瞬。古いPCなどでBluetoothを搭載しないデバイスでも利用可能。
Bluetooth
USBレシーバーが不要なため、デバイス自体をスッキリ見せられる。Bluetoothも精度が向上し、USB接続と遜色なく利用が可能。
マルチペアリング
Bluetoothは、複数のデバイスを登録できるものがあり、ペアリングの手間が最小限になる。また、上記3つの接続方法を同時に満たすものも存在する。
テンキー、ショートカットキー
テンキーの有無
テンキーの有無も重要である。キーの横幅が大きく異なる。マウスなどを多用する方は、テンキーレスであれば手の移動を最小限にすることができる。また、テンキーレスのほうが机がスッキリする。
エクセルなど、数字入力が多いときは、テンキーは必須となる。しかし、テンキーは別で購入することも可能。
ただ、テンキーレスにもデメリットはある。右下のキーが非常に窮屈である。矢印キーが押しにくかったり、Controlキーが潰されていたりする。
ショートカットの有無
最近のキーボードには、必ずと行っていいほどシステムショートカットが搭載されている。明るさ調整や、音量、バックライトの調製など。
機種によっては、Functionキー(F1~F12など)が一発で押せない(Fnキーと同時押し)の場合もある。エクセルなどでF1~F12を多用する方は注意が必要だ。
俗に言う変態配列
私の使っているHHKBは、かなり特殊なキー配列をしている。独立したFunctionキーがなかったり、矢印やCapsLockキーがFn同時押しであったり、色々と変態な仕様。
これにも訳があり、プログラムを書くエンジニアはマウスを使用せず、キーボードだけで作業する。そのため、ホームポジションは原則ずらさない状態が望ましい。世の中にはこのような変態配列を使う猛者もいるということを覚えてほしい。
WindowsとMacによる違い
そして、WindowsとMacで配列が違う。
Windowsキー = Command キー | Alt キー = Option キー | Ctrl キー = Controlキーなどは、表記は違えど、場所は大体似ている。
ただ、全角/半角、英数 かな と、言語切替に使用するキーがWindowsとMacで大きく異なる。また、CapsLockの位置も異なる。
JIS配列とUS配列の違い
ここからが本題。JIS配列とUS配列の違いを徹底的に検証していく。
JIS配列=日本語配列
まず、JIS配列というのは、日本で作られた規格である。パソコン機器を売るメーカーは、これらを「日本語配列」「日本語キーボード」と呼んで、使いやすさをアピールしている。
かな入力ができる
キーの右下に、日本語が印字されていると思う。設定次第では、この日本語と同じ入力ができるらしい。年配の人はこの入力のほうが慣れていたりする、のか。現代人はローマ字入力が普通だと思う。
変換、無変換キー、全角/半角キーがある(Windows)
日本語配列は、Windowsの場合キーの数が多い。日本語配列を使っている中で、全角/半角 キーにお世話になっている人も多いだろう。
US配列が原点
もともとはUS配列が原点である。英語以外の言語は、日本のJIS配列と同じように各言語に合わせてカスタマイズしている。
Enter・Spaceキーの大きさが異なる
Enterキーについて、JIS配列は縦に大きいのに対して、US配列は横に長い。また、SpaceキーについてもUS配列は大きめである。
記号や配置が異なる
画像の青で囲った部分がJISとUSで異なる部分。これだけの違いがあり、慣れるのに少し時間がかかる。また、US配列で印字されていない記号もあり、「¥」は「\」に置き換えられ、「・」は「/」を押すと入力できる。「/」「\」なんて馴染みがないはずだから、非常に戸惑う人が多いだろう。
英語/日本語切り替えが難しい
一番苦戦するのが、日本語切り替えだろう。Windowsにあった全角/半角キーがなくなる。
WindowsはCapsLockまたはAlt + ` 等
Windowsの場合、CapsLockまたはAlt + `、または、Control + ` を使用する。ライトユーザーはCapsLockが最も無難だろう。「`」は左上のほうにある。
- CapsLock
- Alt + `
- Ctrl + `
MacはCapsLock、Control + EnterまたはFn(地球儀)キー 等
Macを持っていないので詳しくは知らないが、iPadの場合、CapsLock、Control + Enter、Fn(地球儀)キーなどで切り替えられた。
Macの場合、Commandキーを言語切替に割り当てるアプリがあるらしいので、JIS配列のMacから乗り換える方はそちらのほうが使いやすいかもしれない。
- CapsLockを使う
- Control + Enter
- Fn(地球儀)キー
- 専用のアプリを使う
US配列のメリット
ここまでで分かった通り、US配列は、言語切替においてかなり癖がある事がわかった。じゃあJIS配列でよくね、って思うかもしれない。では、ここから、US配列の魅力を紹介する。
記号の配列が理想的
まずはJIS配列。「”」「’」「;」「:」「-」「_」これらのキーがすべてバラバラの位置。JIS配列を設計した人はアホやな。ブラインドタッチ時に大きなストレスがかかる。また、「」の位置が上下に分かれている。
次にUS配列。今提示したキーが同じ場所に固まっている。
後者のUS配列のほうが、まとまりがあり分かりやすい。また、「」の位置も横並びで分かりやすいはずだ。これはWindowsでもMacでも同様。
ホームポジションを崩さない
基本的に、キーボードは中央に配置されていたほうがホームポジションを崩さない。ブラインドタッチを覚えている視聴者なら、FとJに人差し指を置くことは常識だと思うが、USはそれをやりやすくする。
US配列とJIS配列では、キーの個数も違ってくる。JIS配列はEnterキーが大きいせいで全体的に左にキーがずれているのが分かる。Macの場合、これに伴いTabキーやControlキーが小さくなっている。
線を引けばそれが明らかとなる。トラックパッドとFとJの位置がかなりずれ込んでいるのが分かる。
Enter、BackSpaceキーが若干近くなる
キー数が少なく、Enterキーが横長ということもあり、ホームポジションから少し近づく。地味な変化であるが、キーを押すたびにホームポジションを崩すのは作業効率を大きく低下させる。まあEnterと同じ動作はCtrl + M|Command + M、BackSpaceはCtrl + H|Command + Hでも可能だけど。
圧倒的な美
かな印字が消えている
今の若い人は、ほとんどが「ローマ字入力」のはずだ。はっきり言って、「かな印字」は邪魔でしかない。US配列は、英語のキーには英語のアルファベットだけ印字されている。これでいいんだよ。
MacはJIS配列のほうがデザインがいい?
ただ、Macに関しては、JISのほうがデザインに優位性があるかもしれない。deleteやreturn, home, end, pageup, pgdown, 等がJISでは記号に変わっている。逆に言うと、US配列だけずっと単語のまま。まあどっちでもいいかな。
WindowsとMacの違いが少ない
前のほうで WindowsとMacの違いを提示したが、US配列になると、WindowsとMacで配列の違いが少なくなる。全角/半角、英数 かなの混在で戸惑う心配がない。また、CapsLockの位置も同じである。
とにかく時短したい人におすすめ
ここまで聞いてきて分かったとおり、US配列は日本語より理想的なキー配列で、指の移動を最小限にしてホームポジションを保つことができる。ただ、これはすべての人に必要かと言われると、そうではない。
執筆、ブロガーはどちらでもいい
まあ、本当に時短になるかと言われると、自身を持ってYesということはできない。体感で、早くなったと感じることがないからだ。ホームポジションのことを説明したが、結局マウスに触れるからどちらでもいいというのが結論。
プログラマー、エンジニアには刺さる
ただ、プログラマー、エンジニアはUS配列を重宝する。なぜなら、記号のキー配列が理想的だからだ。 「”」「’」「;」「:」「-」「_」 これらのキーが右側にすべて収納されているため、ストレスが大きく減少する。また、ホームポジションを強く重視するため、US配列のほうが仕事が捗る。
US配列はなぜ普及しないのか
最後に、US配列が日本で浸透しない理由を解説する。
かな入力をする人が存在する
未だにローマ字入力ではなく、かな入力をする人がいる。これの影響で廃止しようとしてもできないのが現状なのだ。
かな文字だけをなくしたFMV
FujitsuのPCで、かなの印字を消して、見た目がスッキリの日本語配列のノートPCが発売されているらしい。これはブロガーなどからしたらありがたい仕様だ。日本製なだけあって、こういう気遣いが充実している。高いけど。
キーボードに拘りがない
ぶっちゃけ、キーボードをここまで深掘るのはマニアックな人だけである。需要がなくても仕方ない。
入手性が悪い
需要がなければ、パソコンメーカー側も売らない。だから普及しない。それの無限ループである。しかし、急にJIS配列だったものがUS配列になったら、それはそれで「”@”が押せないんですけど!」などの苦情が相次ぎそう。
互換性で高コスパを実現する海外メーカー
これは私のPCである。高コスパだけを追求したノートPCだが、赤線で囲われたキーを見てほしい。
これはJIS配列だが、キーのパーツを変えるだけで、簡単にUS配列へ切り替えることができる仕様となっている。こうやってコスト削減していたのだ。
WindowsノートPCでUS配列は、壊滅的
Macは日本の公式ストアからUS配列(米国)が選択できる。しかし、Windowsの殆どがJIS配列である。残酷な事実であるが、JISのほうが需要があるので仕方ない。また、MacについてもUS配列は納期が長め。
ThinkPad、XPS、VAIO、Surfaceなど高いモデルのみ
特に、ノートPCは選択肢が非常に少ない。また、需要と供給の関係で、値段も高い。XPSについては、なぜか今はUS配列の選択がなくなっていた。希望の星だったのに。
追記
XPSのUS配列まだあるらしい。ChromeとSafariだとオプションが表示されなかったが、edgeとIEなら正しく表示されるようだ。
画像は英語配列、実際は日本語配列
私はずっとUS配列のノートPCを探していて、気になった製品もあった。でも、まさかの日本語キーボード。写真だけ英語配列。
英語配列は入手しにくい、だから追い続ける
とかっこいいセリフをいって、今回はこれで終了する。ついさっきまで、新しい理想のPCを探していた。Thunderbolt4 2ポート、15インチWQXGA以上、そして、US配列。しかし、US配列に絞ると選択肢が圧倒的に少なくなる。しかも高い。一番安いのがThinkPad T15 Gen2だったかな。価格は必要十分な構成にして18万円。うーん、高い。Core i7-1165G7搭載だが、同じCPUで価格が安いものは他にもある。今相当悩んでいる。
設定次第でUS配列気分
私は、JIS配列のキーボードをUS配列の設定にして利用している。何だそれ、と言いたい気持ちはわかるが、JIS配列かUS配列か、というのは、ハードウェアとソフトウェアで合わせる必要はない。
Windowsの設定>>日付と時刻>>言語>>優先する言語の「日本語」をクリック>オプション>>ハードウェアキーボード レイアウト>>レイアウトを変更する>>「日本語キーボード」「英語キーボード」が変更できる(変更時は再起動が必要)。Macは知らない。
Androidはキーボードごとに配列を決めることが可能。また、iPadは純正Magic Keyboard以外は英語配列で認識される。
ただし、上記で述べた通り、印字されている記号と実際に入力される記号は違う場合がある。英語配列を熟知した上で挑戦してみるといい。
まとめ・感想
今回は、JIS配列とUS配列の違いを紹介した。記事を書いている途中で意見を変えるのはやってはいけないことだが、まあ仕方ない。US配列は一部の人には強く刺さるし、ほとんどの人が乗り換えても特に違和感ない。
もし、JIS配列が廃止されて、全てUS配列に慣れば、海外製PCが安く購入できるようになるかもしれない。現在は需要と供給の関係でUS配列のほうが日本からだと高くなってしまうが、JIS配列という日本だけの物が作られるから苦戦しているのだ。繰り返しにはなるが、US配列は海外でどこでも利用されている配列だ。海外メーカーもUS配列だけ作ればいいとなり、大きなコスト削減となる。さあみなさんも一緒に、JIS配列を、ぶっ壊す!