今回は、Samsung DeXを使って仕事をしてみようではないか、ということをやってみる。タイトルにもあるように、スマホをPC代わりにすることができる。夢のような機能ではあるが、実際の使用感や、どのような人におすすめなのかを紹介していく。是非参考にしてほしい。
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スマホの進化は頭打ち
スマホは本当に進化した。ハイエンド端末であれば、Webブラウザは格安のPCよりも高速に動作するし、動画撮影では4K60fpsが撮れて当たり前。マジで強い。
あのサイズで最強スペック
スマホはあれだけ小さいのにも関わらず、そこそこのPC並の性能を兼ね備えている。あの小ささでだよ、エグいよ。だって、WiFi, Bluetooth, バッテリー、ディスプレイ、カメラ、マイク、スピーカー、それらが全部この筐体に詰まってるんだから。
さらに言えば、スマホは冷却ファンを搭載しない。省電力かつ高性能という最強の端末。
Androidも小型PCのようなもの
AndroidはLinuxベースのOSであるから、小型PCと捉えることもできるだろう。ということは、Androidスマホは本来のPCになれるのではないか、という戦略。まあSamsung DeXは3年くらい前からあったものではあるが。
スマホをPC化するSamsung DeX
さて、ここからはSamsung DeXを紹介する。Samsung DeXとは、Galaxyのハイエンドスマホで可能である外部ディスプレイ接続の一つ。Galaxy DeXとも呼ばれる。
画面のUIがPCと同じようなディスプレイ表示になり、設定アイコンが下部に設置されていたり、アプリがウィンドウ表示になっていたりする。
対応する機種
・S シリーズ(S8以降、Liteは非対応)
・Note シリーズ(Note8以降)
・Z Fold(Flipは非対応?)
・Tab シリーズ(S4以降)
ウィンドウ操作はWindowsと同様
OS + 矢印キー を押すことで、全画面ウィンドウ、2画面ウィンドウに切り替えることができる。
また、Alt + Tab キーで瞬時にアプリを切り替えることも可能。こういったアプリ操作はWindowsと操作感が似ているから、Windows使用者からすればわかるはずだ。
もちろん、マウスなどでウィンドウを動かすことも可能。右枠にカーソルを当てれば、自動的に分割がされる。
タスクバー
コントロールセンターはWindowsと同様、右下に集約されている。ここはGalaxyのOneUIのスタイルがしっかり残っていて使いやすい。
タスクバーは、自動で隠すことが可能。左にはAndroidの3ボタンがあり、中央には設定したアプリと現在起動しているアプリが表示される。
一番左のボタン、またはOSキーを押すと、アプリ一覧がズラッと表示される。ここからアプリ検索、電源操作が可能。
スマホをタッチパッドとして利用
DeX中は、スマホをタッチパッドとして使用できる。一般的なカーソル操作、スクロールが可能で、ジェスチャー操作にも対応する。
使えなくはないが、微妙
タッチパッドの操作感としては、感度が良すぎるためか常に矢印が左右に動いてしまう。また、タップでクリックをする必要があり、マウスのほうがいいと感じた。
タッチパッドのジェスチャー操作はWindowsと似ているが、ブラウザの戻る、進むがタッチパッドでできなかったのが残念。まあこれはアプリ側の問題だからなんとも言えない。
DeX & スマホ操作も可能
タッチパッドをオフにすれば、いつものようにスマホを操作しながらDeXを実行することも可能だ。実質デュアルディスプレイ。
別途でマウス、キーボードを用意しておくといい。
同時アプリ起動も余裕
一つ一つのアプリをウィンドウで表示させることができるから、このようにアプリを同時に常駐させることが可能。
私の機種は、メモリ12GB、Snapdragon865 搭載なので、これくらいなら動作可能。また、DeX状態でもカメラを起動できるのも強み。
Chromeウィンドウ複製はできない
タブ表示をするところはお見事、しかし、Chromeをウィンドウで複製して表示することは不可能。ChromeとEdgeを並べることは可能だが、できればChromeで統一したいところ。
一部のGalaxy純正アプリは複数表示対応
一部のGalaxy純正アプリは、1アプリで複数のウィンドウを表示して同時に実行することが可能である。純正のメモアプリ、ブラウザ、ファイル、写真アプリがこれに当たるが問題なく複製できる。
そこそこ発熱する
YouTubeの4K再生と、動画の4K撮影、そしてウマ娘の実行。こんな使い方をする人はいないと思うが、流石にずっと触っていられないくらい発熱していた。
普段の利用でこんなに発熱することはないから安心してほしい。
Microsoft Officeはライセンスが必要
Microsoft Officeに関しては、ライセンスが必要らしい。スマホ単体ではライセンスは請求されないが、DeXになると請求されるとのこと。
大学から頂いているライセンスで認証させればこのように使用可能。もちろんスマホ向けのアプリだから、簡易的なことだけ。マクロを使用したり、Pythonで自動化したり、ということはできない。
Samsung DeXはPCの代わりになるか
結論から言うと、ならない。1年前にも同じようなことをして試したが、結局しっくり来なかった。
解像度がフルHDまで
というのも、Samsung DeXはフルHDまでの解像度しか出力できないのだ。正確には、DeX Station、またはDeX PadならQHDで出力できるらしいが、製品の信頼性があまりない。
外部ディスプレイでフルHDは非常に辛い。スマホの解像度が高いだけあって、画質が極端に悪いことが伺える。
ライバル?のiPad Proは4K60fps M1なら6Kに対応
ちなみにライバル端末としてiPad Proを出すと、iPadはつなげるディスプレイに応じて解像度はRetina技術で最大の解像度を引き出す。Thunderbolt3/USB4に対応したM1 iPad Proなら6Kディスプレイに対応する。なんの需要もないのに。
周辺デバイスの接続が手間
Samsung DeXの構築は、思ったよりも手間がかかる。
・ディスプレイ
・キーボード
・マウス
・それをつなぐケーブル・変換アダプタ
Samsung DeXを開始するたびに上記デバイスをセットアップするのは面倒である。それに、スマホにはUSB-C1発しかない。だからUSB-C変換アダプタ、またはUSB-C対応のディスプレイを用意する必要がある。
ハードウェアとして手に入れたいならChromebookもあり
Samsung DeXを使ってみたいということは、Androidの可能性を信じている人だと思うから、敢えてChromebookを選んでみるのもありかもしれない。ChromebookはAndoridアプリが動作し、なおかつ上記のディスプレイ、キーボード、マウス(タッチパッド)が込み込みで搭載されている万能デバイスだから、Samsung DeXと同じ、またはそれ以上の仕事効率化につながるかもしれない。
Samsung DeXは夢のある機能
それでもSamsung DeXを夢見る方々は、手間がかかろうと、
こんな小さなデバイスでパソコンと同じようなことができることがすごい!
ということに付加価値を置いている場合が多い。昔の私だ。
むしろこの探究心は大事にしてほしい。そんな迷える子羊におすすめなのが、超小型PCだ。超小型PCも、こんな小さくて動作するのか、という夢のワクワク感が感じられる仕様となっている。
アプリは簡易版
Samsung DeXにしてもChromebookにしても、Androidベースなのでアプリは簡易版であることが多い。前のほうでMicrosoft Officeが使えることは示したが、PCと比較してできることは少ない。
Chromeに至っては、拡張機能、タブの一括削除、デベロッパーツールが使用できない。もしこの単語を初めて聞いたとしたら、そのままAndroidのみを使用し続けると一生知らないことになっていたかもしれない。
Windows、またはMacは絶対持っておくべき
この記事を読む人は情報リテラシーがそこそこ高めの方々だと思うが、もしまだPCを持っていない方は絶対に持っておくようにしてほしい。
外付けキーボードが使いづらい(重大なデメリット)
ここまでは、いい置き換えがあるという提示だったが、Samsung DeXには重大な欠点がある。それが、IMEだ。
Galaxy純正キーボードは老害
Galaxy純正のキーボードは、ハードウェアキーボードを接続した瞬間、老害になる。
・Spaceキーで文字側が変換されない(変換ポップアップのみ)
・変換ポップアップ位置が意味不明(画面中央)
・LinuxベースのControlショートカットキーが使用できない
・Enterを押さないと変換が適用されない
・全角状態で大文字アルファベットが入力できない
・言語切替がControl + Spaceのみ
文字だけじゃ分かりづらいかもしれないが、Samsung DeXを使った瞬間に、気づくだろう。このキーボードの恐ろしさに。
Google日本語入力の強制切り替え
対策法としては、Google日本語入力を導入することで解決する。と思うじゃん。
確かにGoogle日本語入力で文字入力が可能になるのは事実。しかし、知らないうちにGalaxy純正キーボードに戻されるのだ。あのときのストレスというものは、もうやばいで(語彙
対策方法
・Galaxyスマホをタッチパッド状態にする
・一度Google日本語入力に設定したら、Galaxyスマホに触れない(タッチパッドは可)
どうやら、Galaxyスマホの画面に一度でもアクセスするとIMEがリセットされるらしい。参考までに。まあ純正キーボードしか使えないという点についてはAppleのiPadでも同じだから、OS自体に無理があるのかもしれない。
結論:使いたくはないが、使えなくはない
Samsung DeXは1年ほど前にも少し使っていた経験があったのでそこまで抵抗はなかったが、もし仕事としてこれを使えと言われたら無理と答えるしかないかな。
完成度が若干甘いということと、そもそもPCと比較したときの付加価値が発揮できていないのが今回の弱点、といったところだろうか。
作り込みはさすがGalaxy
そうは言っても、ここまで開発ができたのは世界一のスマホ市場を持つSamsungだからこそできたこと。Androidの中でも、Galaxyスマホは完成度が高いことで有名。ここまで高機能を実現させたGalaxyスマホは本当にすごい。
ちなみにこういったPCモードのような機能を持つスマホは他にもあり、Huaweiのスマホからも同様の事ができるらしい。
スマホがPC化する未来も遠くない?
ここからは私の持論だが、もしSamsung DeXのような、持ち運びのできる最強のPCができたとしたら、それは本当に最強なのではないか、と思っている。
仕事先には、このようにモニターとキーボード、マウスが用意されていて、好きなところで作業ができるイメージ。USB-C接続で使用できる自分のPCを接続すれば、もう作業が開始できる、といったスタンス。物理的にデータを持っているわけだから、セキュリティ的にも万全。ええやん。
まさしくこんなイメージ。むしろSamsung DeXは、こういう未来を予想していたのかもしれない、と思ってみたり。
そんな事するんだったら、素直にノートPCからディスプレイ出力して、キーボードはノートPCのものを使ったほうがマシかもしれない。
どんなやり方をとっても正解
このような環境構築については、別にこれが正解という明確な答えはない。正解がないからこそ自由な発想ができるわけだし、敢えて他の人とは違うことに挑戦する、ということも重要かもしれない。という若干の自己啓発の内容を述べて、今回の記事は終了である。Samsung DeXというまた新たな仕事スタイルもあるということだけ頭に入れておけば幸いだ。